「愛車を駈っての旅 延長2676キロ」寄鉄輪愛酎会
齊藤 信行

湯烟 別府 在文人  の 別府 文人在りて
愛酎 同遊 如鉄輪  愛酎の同遊 鉄輪の如き
散策 句碑 廻地獄  句碑を散策して 地獄を廻る
温泉 痛飲 莫逡巡  温泉と痛飲 逡巡するれ
 平成二十四年五月詩稿  七言絶句・上平聲・十一真韻
 この漢詩を寄せた齊藤信行さん(注・全日本漢詩連盟会員・東京都調布市在住)は、四月二十日に東京有明フェリーターミナルを出発、新門司港に到着。最初に父祖の地岩国を訪ね、その後は山口・九州各地を愛車を駆つての旅を続けた。四月二十六日には、戦時中に「予科練」として入隊していた鹿児島の海軍航空隊鹿屋基地の跡を訪れ、石碑に刻まれた戦友の名前に掌を合わせた。
 そして、宮崎の高千穂峡、熊本の阿蘇をめぐり四月二十九日(日)に友人のいる別府に着いた。別府は初めての地であった。
 以下は齊藤さんから届いた「防長筑紫紀行」の中から抜粋したものである。
 〈夕食は六時から友人を交えて痛飲歓談する。宿での酒は越後の銘酒「越の寒梅」と焼酎「鉄輪」で、料理は、オーナが豊後の山海から取りたての食材を用いて調理した味に堪能した。この宿は、鎌倉時代創建の古刹の宿坊を受け継いだ湯治宿のようである。
 四月三十日(月)雨。七時三十分起床。入浴、八時朝食、九時三十分宿を出発。別府地獄めぐり。最初に血の池地獄。赤く染まった池と湯けむりは壮観である。次いで、龍巻地獄。これは間歇泉で10分毎に吹き上げる熱湯は豪勢である。昨年訪れた米国のオールドフェイスル間歇泉の4万リットルの熱湯を吹きあげるさまも見事であった。最後に海地獄。広大な池が海のように見えるところからこの名がある。次いで高速道で臼杵に至り、国宝の石仏、磨崖仏の慈顔を拝し、旅の疲れも癒えた〉。
                 (注・編集部)